製造委託先との調整業務を月間89時間短縮 会社間のやり取り・手作業の負荷が激減

日本ジェネリック株式会社

多くの製造業では、自社での製造に加え、他社に部品や製品の製造を委託する場合も多い。その際には通常、製造委託先企業(以下:製造委託先)に対して注文書を発行し、納期回答を得て、自社のシステムに登録し管理する、といった一連の業務が発生する。製造委託先との調整は、多くの企業ではまだまだメールや電話、FAXが利用されており、集めた情報を管理システムに登録する作業は人的パワーに頼らざるを得ないのが現状である。ジェネリック医薬品※を製造・販売する日本ジェネリックでも上記のような方法で業務を行っていたが、製造委託先とのやり取りを劇的に改善する仕組みを構築したことで調整業務を月間89時間も短縮することに成功した。

日本ジェネリック株式会社

 

chapter 01 製造委託先との調整業務を見直すきっかけ

発注から納期回答までのプロセスは改善余地が大きい

製造業では、通常、生産計画に基づいて製造委託先に情報を連携して製造を依頼するが、適切な発注量で確実に生産を実行してもらうために、必要な情報を適切なタイミングでお互い確認しなければならない。そんな重要な情報の1つが、製造委託先からの納期回答情報だ。

例えば図①のように、まず月次生産計画を立案し、それに基づいて関係する製造委託先に委託品の製造を発注し、納期回答を得て、その情報を生産管理システムに入力するという流れだ。

しかし多くの場合、製造委託先企業は1社だけではない。複数の企業に対して発注を行い、各企業から納期回答をもらう必要がある。
発注から納期回答に至るまでのプロセスでは、メールや電話、FAXが利用されているケースが多々あり、製造業の中でも効率化あるいはシステム化にまだまだ着手できていない領域だと言える。日本ジェネリックもそんな企業の1社であった。

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不統一な連絡手段、煩雑な情報管理、生産管理システムへの手入力による膨大な負荷

これまで日本ジェネリックでは、自社から製造委託先に対して発注を行う際、注文情報を一覧にしたExcelファイルをメールに添付して送信していた。製造委託先からの納期回答は、通常そのままメールで返信してもらうが、中には送ったExcelファイルを印刷してそこに手書
きで納期を記入し、FAXで返信してくるところもあったという。回答には納期情報だけでなく出荷明細もあり、受け取った情報はその都度、手作業で生産管理システムに入力していた。

こうした状況を、製品企画部 委託管理課 課長の松下浩一氏は、次のように振り返る。

「以前のやり取りを確認するために過去のメールを探すのが一苦労ですし、回答がFAXの場合は見当たらなかったり、FAXの文字が読めないために送信元の企業様にメールや電話で再度確認したりといった手間がかかっていました。決められた期限までに回答いただけない企業様に対しては、メールや電話で再度連絡するという作業も必要だったのです。さらに生産管理システムへの情報入力は、我々が手作業で行っており、ダブルチェックもしていたので、ここでも多大な負荷がかかっていました。そもそもやり取りしている製造委託先企業様は約40社もあるので、どの取引先から、どんな情報が返ってきているのか、あるいは返ってきていないのかを把握するだけでも本当に大変だったのです」(松下氏)。

同社では、生産プロセスの効率化を図るために、2016年に生産管理システム(=mcframe※)を導入していた。松下氏は、製造委託プロセスについても、システムを導入し整然とした業務フローで業務を効率化したいと長く望んでいたという。

※mcframe:ビジネスエンジニアリング株式会社が提供している生産・販売・原価管理システム。

chapter 02 解決策の調査/比較検討

自社の業務プロセスをシステム化できる方法を調査。業務システム構築ツールを検討

こうした委託管理課の要望を受け、システム部門でも解決策の検討がはじまった。
「当社のシステム部門は、我々ユーザー部門の課題を把握した上で、常日頃から情報収集もしてくれていました」と松下氏は言う。製造委託先とのやり取りのための専門システムはほとんど存在していないこともあり、システム部門は業務システム構築ツールが適切だと考えた。

利用コスト、システム連携に加え、製造業での導入実績で比較

既に社内の2 ~ 3部門で以前から使っているツールも含め、複数のツール提供会社へヒアリングを行うなどの調査も行ったという。
複数のツールから委託管理課が選択したのは、ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)の提供する業務システム構築ツール「Business b-ridge」であった。

Business b-ridgeは、企業間あるいは部門間にまたがる業務プロセスを自社で構築することができ、紙やExcelの業務をスピーディーにデジタル化し、情報を一元管理し進捗を把握するための仕組みをノーコードで構築することができるクラウドシステムである。

利用コストは従量制での料金形態ではなく1ユーザー当たりの固定料金×利用ユーザー数でコスト計算できる。

「もちろんコストも重要な要件でしたが、最終的に納期情報を入力する生産管理システムとの連携が非常に重要なポイントでした。Business b-ridgeは、生産管理を含む数多くの基幹系システムとの連携実績があり、さらに我々が利用している生産管理システムは、B-EN-Gが提供するmcframeでした。B-EN-Gには、我々の生産管理業務を熟知してくれているという大きな安心感と、30年以上に及ぶ製造業での活動実績だけでなく製薬業界に対しても深い知見があり、心強いサポートを期待することができました。」(松下氏)

chapter 03 業務システム構築ツールの導入効果

製造委託先とのやり取りを効率化、業務時間を月間89時間短縮

今回、「Business b-ridge」で構築した製造委託システムは、Web画面を介して製造委託先とのやり取りを行うことができるものだ。委託管理課が個々の製造委託先に対する注文情報をシステムに登録すると、各製造委託先の専用ページに注文情報が反映され、併せてメールが送信される。各社は日本ジェネリックから支給されたIDとパスワードを用いて、権限設定されたシステムにログインし、納期を入力する形だ。

製造委託先に提示した納期回答期限までに情報が入力されない場合には、システムから自動で製造委託先にリマインドメールが送信される。製造委託先から納期回答が入力されると、生産管理システムへ自動で連携、反映される。

この製造委託システムの効果について、委託管理課係長の遠藤和彦氏は、製造委託先とのやり取りが劇的に効率化されたと言う。

「当社の社内ルールでは、生産計画で立てた予定の数日前までに、納期情報を生産管理システムに登録しておかなければならないのですが、これまでは先にも話が出たように、回答状況の把握がしにくかったり、未回答の場合には製造委託先に催促の電話をかけるなど手間が必要でした。しかし今回構築した製造委託システムは、納期回答があれば即座に通知がありますし、未回答の企業様にはリマインドメールを自動で送信してくれます。今まで人間がチェックして、フォローまでしていた業務を無くすことができました」(遠藤氏)。

また遠藤氏は、生産管理システムへの自動連携がもたらした業務の変化を強調する。

「生産管理システムへの入力作業件数は、2022年度の月平均で267件です。これは我々委託管理課3名の合計の件数ですが、情報量が多いものについては、1件当たり20 ~ 30分の入力時間がかかっていました。仮に1件20分で計算すれば、20分×平均267件=5340分、つまり課全体で89時間10人日もかかっていたことになります。それが今は皆無になりました。新たに創出できた89時間10人日は、毎日の納品チェックや在庫状況の確認など他の重要な業務に割り当てることが可能となりました。一方で製造委託先様からも、“注文書の情報が一元管理できるようになった”と好意的に受け入れていただいています」(遠藤氏)。

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やり取りの属人性が排除され、過去履歴の追跡も容易に

さらに委託管理課 係長の澤田美都氏は、製造委託システムのメリットとして、やり取りの属人性が排除され、過去の履歴が時系列で残ることで、以前のやり取りを容易に追跡することができるようになった点を挙げる。

「製造委託システム上で、製造委託先様ごとに注文書単位でドキュメントが管理され、可視化されているので、過去履歴の追跡も非常に簡単ですし、誰でもすぐにそのやり取りを引き継ぐことができます。個人メールで発生していた属人性の排除、過去履歴の追跡のしやすさも大きな効果だと捉えています」(澤田氏)。

日本ジェネリックに数々のメリットをもたらしたBusiness b-ridgeだが、松下氏は導入に当たっては、十分留意しなければならないポイントがあると指摘する。

「今回Business b-ridgeを使って構築した製造委託システムは、我々の業務を劇的に改善してくれるものですが、利用に際しては、製造委託先様にもご協力を仰ぎ、従来の業務プロセスを変更していただく必要があります。」

日本ジェネリックの場合は、担当の3名が全員参加で製造委託先を1社様ずつ、オンラインで30 ~ 40分をかけて、システムの目的や利用メリット、使い方などを丁寧に説明したという。月に3~4社のペースで、トータル約1年をかけたというのだ。元々の操作マニュアルをベースに自分たちで追加・改良を加え、現在のバージョンは6にまでなっている。

「システム構築とは直接関係はないのですが、新たなシステムの利用を軌道に乗せ、期待する効果を獲得するためには、避けては通れない取り組みだと言えます。ただ労を惜しまず、事前に製造委託先企業様と丁寧なコミュニケーションを取らせて頂いただけの効果は、十分に出ていると実感しています。」(松下氏)。

chapter 04 今後の展望

業務システムの利用範囲を拡張し、納品書や請求書のやり取りも効率化へ

日本ジェネリックが導入したBusiness b-ridgeは、ノーコードで、ユーザー企業自身でも必要な業務システムを構築することができる。しかし、同社は社外企業と共用するようなシステムについては、アクセス制御なども含めた安全性を担保するためにも、ツール提供元の
B-EN-Gに相談する方針だ。

「製造委託システムは、注文書のやり取りを効率化するための仕組みですが、製造委託先様とやり取りする書類としては、他にも納品書や請求書などがあります。また製造委託先と生産計画の相談についてもメールで行っており、効率化できる業務領域はまだまだ残されています。今後はこうした書類や相談をやり取りする仕組みも、Business b-ridgeで構築したいと考えています。既に一部、B-EN-Gに依頼し、提供された業務プロセスもありますが、今後もB-EN-Gの力強い支援に期待しています」(松下氏)。

 

※記事内における組織名、役職、数値データなどは2023年7月現在のものです。閲覧される時点では変更されている可能性があります。

 

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