業務システム構築ツールにはさまざまな種類があり、企業内の特定の部門のシステムはもちろん、部門横断で行う業務システムの開発など、用途に合わせて選択すべきであるとご紹介しました。(紹介記事はこちら)
同ツールを用いて既存の業務をうまくシステム化していくにあたり前提として知っておくべき重要なポイントを、同ツールが提供する主要な機能を交えながら解説します。
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業務システム構築ツールを用いて自社に合ったシステムを開発したいと考えるものの、初めての取り組みでは迷うことも多いはずです。まずどのような情報を整理する必要があるでしょうか。
実現したいシステムによって考えるべき事項と優先順位はさまざまですが、業務システムに必須の要素として、まず「やり取りする情報」、「業務フロー」、「作業内容」の3つに着目するとよいでしょう。これはシステム化にあたって要件を考える際はもちろん、製品を選定・検討する際にも重要なポイントです。
1つ目は、どんな情報を、誰が必要とするのか、を整理しておくということです。これは業務システムにおいて、一般的なヒューマンインタフェースである「画面」を作る際の基本となる情報であるからです。また、どのような情報が入るのかを明確に定義しておくことは、入力チェックや自動入力など、作業ミスを防ぎ、効率的に業務を推進する機能の実現にもつながります。
2つ目の「業務フロー」は、「画面遷移」を設定する際に用います。
例えば、「【申請】が実行されたら、【確認】と【承認】ができるようにする」というように、何らかの情報の発生・変更の際、次にどのようなアクションが可能になるのかということです。この「業務フロー」と1つ目の「やり取りする情報」を関連づけることによって、システム上で1つの業務プロセスが表現できます。
最後の「作業内容」の整理も重要なポイントです。「誰が申請できるのか」、そしてその「申請を誰が閲覧、編集、削除できるのか」のような、細かな操作権限が可能かどうかです。
これらをシステム上の「権限制御」として設定することで、ルールがシステムに反映され、業務の正しい統制のみならず、情報漏えい防止、機密保持やコンプライアンス維持につながります。また、この「権限制御」は業務システム構築ツールを選定する上でも重要な要件となります。
ここまで触れてきた「やり取りする情報=画面」、「業務フロー=画面遷移」「作業内容=権限制御」という3つの項目に関して、「出庫管理システム」の具体例を見ながら見ていきたいと思います。
例えば、ある飲料メーカーは顧客に提供するサンプル品の出庫管理をこれまでExcelファイルとメールのやり取りで行っていたとします。そこでは以下の業務の流れが発生しています。
1.飲料メーカーの営業担当者が、顧客へサンプル品の提供を約束
2.営業担当者が、サンプル品の提供をマネージャーに申請
3.申請を確認したマネージャーは、営業担当者に承認の旨を返信
4.承認を受けた営業担当者は、倉庫担当にサンプル品の発送を依頼
5.倉庫担当者は、サンプル品が届く日を営業担当者に連絡